260:名無しNIPPER[saga]
2016/05/12(木) 23:24:12.92 ID:PRviaZz6o
ただ、麻衣の願いをかなえてあげることだけが僕の目的だった。そのために僕は麻衣に
黙って勝手にこの作戦を開始してしまったのだった。
・・・・・・今では麻衣はそれを望まないと言う。この時素直に麻衣に僕がフライングしたこ
とを白状して謝っていれば。でも、自分に自信のない僕にはそれを選択することができな
かった。
結局、僕は麻衣に自分のしてしまったことを告白しなかった。鈴木先生にメールしただ
けでは何も起こらないかもしれない。あの画像は本人が白を切ればそのまま通ってしまい
そうなほど画質の悪いものだった。現に僕は優がこれだけでは追い込まれないときのため
の準備をしていたほどっだった。
今ならまだ引き返せるかもしれない。そして引き返せる可能性があるのなら僕のしでか
したことを麻衣に告白しなくてもすむのかもしれない。
僕はようやく掴んだ自分の幸せを壊したくなかったのだ。
「今日はお兄ちゃん、体調が悪くて早退したみたい」
麻衣は僕の葛藤には気が付かずに言った。
「お兄ちゃんが心配だから、今日はまっすぐ家に帰るね。先輩と放課後一緒にいられなく
てごめんね」
「いや。それは早く帰ってあげないと」
僕はようやく振り絞るように掠れた声で言った。
麻衣はにっこりと笑って僕の方を見てからかうように言った。
「先輩、あたしとお兄ちゃんの仲に嫉妬してる?」
「な、何で君のお兄さんに嫉妬するんだよ」
「冗談だよ」
麻衣は再び僕に抱きついて言った。
放課後、僕は生徒会室に顔を出すことすらせず部室に向った。今日はもう麻衣に会えな
い。彼女は早退した池山君を心配して真っ直ぐに帰宅しているはずだった。
麻衣ににあそこまではっきりと愛情を示されたのだから、普通なら有頂天になっていて
もいい状況だったけど、今の僕の心境は全く違っていた。麻衣の池山君への執着について
僕は決して軽んじていなかった。だから麻衣の僕への愛情を信じた後になっても、池山君
と優を別れさせることは、麻衣との約束どおり引き続き僕が果たすべき役目だと思ってい
たのだ。ただ、これは僕自身にもリスクが生じることだったから、僕のことを気にするよ
うになった麻衣は、僕のことを心配してそれを実行するよう僕に催促しづらくなるかもし
れないということは考えていた。
だから僕は彼女には事前に何も知らせずに鈴木先生に優のセミヌードが掲載されている
ミント速報のログをメールで教えたのだった。
でも、今日の昼休みで事態は一変してしまった。どんなに破廉恥だと思えるような相手
であっても、池山君が本当に好きな相手なら麻衣は許容することに決めたのだと言う。そ
して皮肉なことに麻衣が池山君と優のことを認めることに決めたきっかけは僕との交際な
のだった。
もう一日早く、麻衣が池山君と優のことを許容することを僕が知っていれば。あるいは
もう一日僕が鈴木先生にメールを出した日が遅ければ。でももうそれを考えても仕方がな
い。
僕のしたことが麻衣にばれたらどうなってしまうのだろう。あるいは、麻衣は当初の自
分の願いに忠実に行動した僕を理解し許してくれるかもしれない。それとも池山君を許容
した麻衣は、自分の兄が好きな優を社会的に追い込むかもしれないことを、自分に黙って
勝手に始めた僕を怒るだろうか。それは考えても結論の出 ることではなかった。
僕は部室のパソコンを立ち上げ先日作成した捨てアドへのメールをチェックした。もう
こうなったら鈴木先生が僕の送ったメールを悪質な悪戯だと判断して無視してくれること
を祈るしかなかった。
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