女神
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259:名無しNIPPER[saga]
2016/05/12(木) 23:22:46.49 ID:PRviaZz6o

「あたし、もう二見先輩とお兄ちゃんの仲を許せると思う」

 彼女は僕の肩に体重を預けながら呟いた。

「お兄ちゃんもあたしと一緒なのかもね」

「どういうこと?」

 僕は何となくそう望まれているのではないかと思って、彼女の肩に手を廻した。

「恋愛って当事者同志じゃなきゃわからないんだよね。あたし、初めて恋をしてよくわか
った」

「・・・・・・うん」

 初めて恋をしたって。

「お兄ちゃんが二見さんのことを、二見先輩の女神行為のことを承知していても二見さん
が好きなら、あたしはそれを邪魔しちゃいけないのかもしれない」

 一瞬で僕の思考は甘い感傷から覚醒した。麻衣の肩を抱いていた手が震えた。

「・・・・・・先輩?」

 麻衣がいぶかしんだように聞いた。

「いや。続けて」

「あたしにはブラコンかもしれないけど、それでもお兄ちゃんの恋を邪魔する資格はない
と思う。特に今ではあたしの一番好きな男の人は、お兄ちゃんじゃなくて先輩なんだし」

「うん・・・・・・」

 途方もないほど幸福に思えただろう麻衣の言葉も、今の僕には全く響いてこなかった。
胃の辺りが重く苦しく軋んでいる。

「だから先輩、あたしが前に相談したことは全部忘れて。あたしはお兄ちゃんと二見先輩
の仲は邪魔しないし、お兄ちゃんの味方になるの。今ではあたしには先輩がいるんだし、
もうお兄ちゃんの恋を邪魔するのは止める」

 僕にはもう何も言えなかった。

「それをあたしに気がつかせてくれたのは先輩だよ」

 麻衣は僕の頬に手を当てた。

「大好き」

 麻衣に口を塞がれながら、僕はその甘い感触を感じることすらなく自分のしてしまった
早まった行為のことを鮮明に思い浮かべていた。

 もう僕には何も考えられなかった。僕は麻衣のことを思いやる余り先走って優の女神行
為のことを鈴木先生にチクってしまっていたのだった。

 僕の感覚と思考は戦慄し、震えた。どうしたらいいのだろう。どう行動するのが僕にと
って最適解なのだろう。

 僕にとってはもう優に制裁を加えるとかその巻き添えで池山君が痛めつけれられるとか、
そういうことはどうでもよかったのだ。最初は僕を虚仮にした優への復讐が動機の一つだ
ったけど、麻衣に惹かれ信じられないことに彼女に愛された僕にとってはもうこの二人の
ことなんてどうでもよかった。


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