女神
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237:名無しNIPPER[saga]
2016/05/06(金) 22:49:53.79 ID:my8qAWPQo

「正直、ネットを見るだけならどんなのでもいいよ。普通に量販店で売っている安いノー
トとかでも十分でしょ」

「それがよくわかんないから聞いてるのに」

 麻衣はふくれた様子で言った。そしてそんな彼女の表情すらとても可愛らしかった。

「だから部屋でネットするだけならどんな機種だって大丈夫だって。それともうちの部員
たちみたいに何かやりたいことが別にあるの?」

「・・・・・・先輩が教えてくれた女神板とかミント速報とかが見れればいいんだけど」

 やっぱりそこか。

「・・・・・・だったらデザインが可愛いとか値段が安い方がいいとか、ノートかデスクトップ
とか」

 僕は無難に返事した。

「その辺はどうなの」

「ノートで可愛いい方がいいな」

 僕はスマホで何機種かの画像を検索して彼女に見せた。パソ部部長としては腹立たしい
ほど簡単なミッションだった。何しろ、ノートで可愛くてネットに接続できればいいとい
うのだから。

 いくつかのパソコンの画像をチェックしているうちに彼女はある機種が気に入ったらし
かった。

「これすごく薄くていいなあ」

「別に可愛くはないよね。あと、それマックだし」

「これは駄目なの?」

「駄目じゃないよ。でも可愛いというより格好いい方に近いかな。それにAirって大学
生とか社会人とかがよく持ってるんだけどね」

「それでもいい。これ欲しい」

 驚いたことに彼女はその場でそれを購入するよう僕に頼んだ。用意周到なことに彼女は
父親のカードの番号やセキュリティコードをメモに控えてきていた。

「お父さんにお願いしたらこのカードでネットで買っていいって。本当はお兄ちゃんに頼
むように言われたんだけど」

 まあ、今の麻衣と池山君の関係なら気軽にそういうお願いはできないだろう。これでは
本当に僕は臨時のお兄ちゃんだった。

 二十万円以下ならいいらしい。僕はメーカーの直販サイトでそれを注文したのだけれど、
その際、期せずして僕は麻衣の住所をこの入力過程で手に入れた。あとはギフト扱いにし
て麻衣の父親の名前でなく彼女宛てに届くようにした。

「明日には届くみたいだよ」

 僕は彼女に言った。僕は彼女のために必死でパソコンを購入していたのに、彼女自身は
僕が黙ってスマホでオーダーに必要な項目を入力していることに飽きてきたようだった。

「まだ終らないの」

 麻衣は不服そうに言った。「これじゃ、パソコンを注文しているだけでお昼が終っちゃ
うじゃん」

「もう少しだから」

 僕は答えた。こういうわがままを自然に、かつ無邪気に言えるところも僕が彼女に惹か
れた理由の一つなのだろう。

「せっかく先輩とお昼一緒なのに、これじゃあ何も話せないじゃない」

 僕の昼休みを多忙にさせた原因を作った麻衣は無邪気に文句を言った。


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