女神
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221:名無しNIPPER[saga]
2016/05/04(水) 21:10:22.41 ID:mt1lqNZYo

「あんたさあ、ガキみたいに拗ねるのはいい加減に止めなよ」

 それまで黙っていた副会長までそこで口を挟んだ。

「いつまでも振られて傷付いた自分をアピールされると本気でうざいんだけど。生徒会長
の癖に下級生に心配させてどうすんのよ。そもそも、あんたの方が遠山さんに告って始め
たことでしょうが」

 遠山さんへの憎悪を募らせていた僕に対して副会長は説教するように言った。そうじゃ
ないのに。僕はもう反論する気すら失って、この場の雰囲気が自分にとって想定外の流れ
になったことに忸怩たる思いを抱いた。

「前にも言ったけど誰だって振られることなんかあるんだし、あんただってそんなことは
承知でこの子に告ったんでしょ。別に失恋することは全然恥かしいことじゃないけど、失
恋したことに拗ねて構ってちゃんやってるあんたの姿は正直痛いよ」

「もういいんです。悪いのはあたしだし」

 遠山さんが副会長の話に割り込んだ。

「あんたもこいつを甘やかすのやめなよ。あんたが役員を辞める必要なんて全然ないよ」
 副会長は今度は矛先を遠山さんに向けた。

 僕はもうこれ以上、この場の雰囲気に耐えられなかった。ようやく乱れる心を静めてで
きるだけ冷静に話すよう努めながら、僕は言った。

「正直、何でこんなに非難されなきゃいけないかよくわからないけど、ここの役員はみん
な優秀だし、僕だって学祭の準備に必要な指示は不足なく出してるでしょう」

 僕はなるべく感情を抑えたトーンで喋ることに腐心しながら続けた。

「でもパソ部の方はそうは行かないんだよ。新入部員の面倒もろくにみようとしない奴ら
ばっかりだし、大切な新人だから僕が面倒を見ないと」

「パソ部の新人ってどうせオタクなんでしょ? 放っておいたって好きなネトゲとか勝手
に始めるんじゃないの?」

 僕の言うことを頭から信用していない副会長は言った。

「あんたの言うことは全然信用できないんだよね」

「嘘じゃないよ。しかも一年の女の子だしなおさら部員たちには任せておけないという
か」

「一年の女の子?」

 妙なところに副会長が食いついてきた。

「あんたが遠山さんへの面当てでこんなことをしてるんじゃないというのが本当だとした
ら、あんた今度は一年生を狙っているのかよ」

「そうじゃないよ。とにかくそういうことだから、僕はもう行くよ」

 その時、遠山さんが僕の方を見て言った。

「もしかしてその新入部員って、池山麻衣ちゃんって子じゃないですか?」

 間抜けなことに僕は今まで遠山さんと麻衣が親密な仲であることをうっかり忘れていた
のだった。これからしようとしていることを考えると、麻衣がパソ部に入部したことは優
や池山君の関係者には伏せておきたかったのだけど、ここまで明白な事実に対して嘘をつ
くことはできなかった。そうじゃないよと否定して後でそれが嘘だとわかった場合のダ
メージの方がはるかに大きいだろうし。

 なぜ遠山さんがパソ部の新入部員を麻衣だと見抜いたのかはわからなかったけど、とに
かく僕はこの場を離れたかった。

「そうだよ」

 僕は短くそれだけ言って、これ以上彼女たちの制止の言葉に耳を貸さず半ば強引に話を
打ち切って生徒会室を後にした。


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