女神
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200:名無しNIPPER[saga]
2016/04/17(日) 23:05:15.37 ID:GO5crQa4o

「じゃあ専ブラのインストールからしてみようか」

 僕はマウスを持つ彼女の細く華奢な手をじっと見つめながらも、なるべく冷静に聞こ
えるように言った。

「2ちゃんねるを閲覧したいならIEよりもいろいろ便利だし快適だし」

「専ブラって何ですか」

 当然ながら池山さんは聞いたけど、その聞き方は少し首をかしげて僕の方を見上げると
いう僕にとっては破壊力抜群なものだった。この子は本当に可愛すぎる。僕は彼女の無邪
気な疑問の表情にどきどきしながら答えた。

「2ちゃんねるの掲示板を閲覧したり投稿したりするための専用のブラウザのことだよ」

「見やすいとか投稿しやすいとかもあるけど、掲示板そのものへ与える負荷が低いんだ」

 そう言っても彼女にはよくわかっていないようだった。

「IEとかだとHTML全体を読み込むんだけど、専ブラは掲示板のDAT、データだけ
を読み込むからね」

「はあ」

「わからなくてもいいよ。とりあえず使いやすいから専ブラを使う方がいいと考えてくれ
れば」

 僕はとりあえず何種類かのブラウザをDLした。使ってみて使いやすい方をこの先彼女
が選べばいい。インストールが終ると、僕は改めて彼女に質問した。僕はこの先の彼女の
答えによっては久しぶりの傾聴スキルを駆使して、彼女の抱えている問題を解明しようと
思っていた。

「さあ、これで準備完了だよ」

 僕は池山さんに話しかけた。「2ちゃんねるに詳しくなりたいって言ってたけど、とり
あえずどういうスレを見たいの?」

「あの・・・・・・」

 彼女は僕の方を見て言い淀んだ。今の僕には彼女のそういう表情さえ可愛らしく感じた。
これが男の新入部員だったら即座にうちの部から追い出していたかもしれないけど。

 ・・・・・・こんな子が本当に僕の彼女だったらなあ。僕はその時、そう考えた。そうだった
としたらもう僕が不毛なコンサルティングをすることもないだろうし、優みたいな複雑な
性格の子に対して報われない想いを抱えることもないだろう。普通に仲の良い普通にリア
充の同級生たちと同じような恋愛ができるのかもしれない。自分よりか弱い池山さんとい
う女の子を守りつつ、その対象の子から頼られ愛されることができたのなら、相手の気ま
ぐれな感情に翻弄された中学時代の優との交際とは全く違う恋ができるのだろう。

 僕がそう思って純情で可憐な池山さんの悩ましい表情を眺めたときだった。彼女が僕の
質問にようやく返事をした。そして、それは純情でも可憐でも何でもない言葉だった。

「部長、女神行為って知ってますか? 何だかネット上で自分のヌード写真とかを公開し
ているスレがあるらしいんですけど」

 僕は彼女の言葉に呆然として、そのきょとんとした可愛らしい顔を眺めていた。僕も女
神板とかVIPとかの女神スレとかは知っていた。でも目の前の小さないい匂いのする華
奢な美少女からその名前を耳にするとは思ってもいなかったのだった。

 2ちゃんねるで女神行為を見ること自体は、うちの部では別におかしなことではない。
部活と称してエロゲをしたり部費で購入したPOSERを使って少女の裸体を3Dモデリ
ングしているような部員がいるのだから、部長の僕でさえ顧問にばれない程度ならそうい
うスレを閲覧することを禁止しようなんて思ったこともなかった。でも、目の前の一年生
の少女が女神スレを見たいと言うとは僕の想像の範疇をはるかに超えていた。

「えーと。知っているか知らないかで言えば知っているけど・・・・・・君、本当にそれが見た
いの?」

 とりあえず僕はドキドキしながら聞いてみた。目の前のおとなしい美少女の容姿に対し
て説明するには、女神板の紹介は、全くふさわしくない言葉だった。心の中に卑猥な妄想
めいた考えが浮かんできたため、僕は慌ててそれを打ち消すように聞いたのだった。


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