199:名無しNIPPER[saga]
2016/04/17(日) 23:03:50.44 ID:GO5crQa4o
池山さんは、優とかその他の、僕に告白してきた女の子たちとはタイプが全く違ってい
た。どういうわけか僕が好きになる、あるいは僕を好きになる女の子は容姿は様々だった
けど、基本的にはしっかりとした性格のお姉さんタイプの女の子が多かった。でも、遠山
さんはちょっと違っていた。
遠山さんは守ってあげたいという気持ちを男に起こさせるような女の子だった。そうい
う彼女の控えめで可憐な姿に、正直僕は惚れてしまった。そして、それは僕だけではなく
他の部員たちも同じようだったけど、僕は見苦しくも部長権限を振りかざして彼女の教育
係の座を確保したのだった。
「遠山さんって自分の家にパソコンないの?」
最初に、僕は彼女のあまりの初心者ぶりに驚いて聞いた。
「リビングにパソコンはあるんですけど、おにい・・・・・・兄がいつも使っているんであたし
はあまり触ったことはないです」
彼女はそう言った。
「それでも、スマホとかでネット見たりしない? それと学校の授業でもネット関係の講
座があるよね?」
「あたし、スマホもメールとかLINEくらしか使えませんし、IT関係の授業もあまり興味が
なくて」
それなら、いったい彼女はなぜ今更パソ部の扉を叩いたのだろう。僕は疑問に思った。
うちは遠山さんのような女の子が思いつきで入部するようなクラブではない。パソ部は校
内の評価は最悪で、一般の生徒たちからはキモヲタの巣窟のように目されていたのだし、
女性すら一人もいないようなそんな部に中途でわざわざ勇気を出して入部希望をした意味
は何なのだろう。
僕はその時久しぶりに自分の「傾聴」スキルを発動しようと思いついた。高校に入って
からはほとんど思い浮かべたことがなかったスキルだったけど、今こうして遠山さんと二
人でPC前に座っていると、彼女のことをもっとよく知りたいという欲求が僕の心に浮かん
できた。
そうすれば、多分単なるいい部長という立場で表面的な会話をしているよりてっとり早
く彼女の心に入り込めるだろう。そして、今までの実績でいうと僕がコンサルタントを成
功した女の子たちはかなりの高確率で僕を好きになったのだった。それは単なる陽性転移
に過ぎないのだけれど。そういうクライアントの感情に流されえてはいけないというポリ
シーのもとで、僕はそういう告白は全て断っていた。
その僕が今やあえて遠山さんに陽性転移的な感情を覚えてもらうように仕掛けようとし
ている。コンサルタントとしては最低の行動だった。それは人の相談にのる仕事の倫理規
範に真っ向から反する態度だった。クライアントに献身的にコンサルタントした結果とし
て、相手から好意を抱かれてしまうのはしかたながない。ただ、その場合でも術者はその
好意を穏便に断るべきだ。
それに対して最初からクライアントの好意を目当てに行うコンサルタントなんて普通な
らあり得ない。でも、僕は今そのあり得ないことをしようと考えていたのだった。
僕の横で当惑したようにパソコンと格闘している遠山さん。まだ新しい制服に身を包ん
で華奢小さな身体で僕の隣にちょこんと座っている遠山さん。彼女の髪からふと匂う甘く
さわやかな香り。そういう彼女の様子は、今まで経験したことのない、彼女に対する保護
欲と征服欲を僕の心に掻き立てたのだった。
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