196:名無しNIPPER[saga]
2016/04/17(日) 23:00:26.70 ID:GO5crQa4o
「いえ。特に何もしていません。よくわからなくて」
池山さんは言った。
・・・・・・やばい。この子本当に可愛いな。彼女の表情を見て彼女の弱々しい言葉を聞いた
とき、僕は思わずそう思ってしまった。今でも僕は優への恋情を抱えているはずなのに。
「よくわからないって言うけどさ」
僕は気を取り直して彼女にレクチャーを始めた。
「まあ、うちの部はパソコン部って言うだけあって、パソコンとかネットとかIT関係な
らなんでもありな部だからさ」
池山さんは頷きながら僕の言うことを聞いてくれていた。
「だから、部員たちもそれぞれ好き勝手に活動してるんだよね」
「・・・・・・はい」
「例えば、隣のブースにいるあいつ」
僕は彼女と同じ一年生の部員を指差した。こいつは他の部員たちと異なり彼女をチラ
見することなく一心不乱にディスプレイ上を埋め尽くしたコードを睨んでいた。
「彼は、CGIスクリプトを勉強中なんだよ。勉強中っていっても基礎を覚える段階じゃなくて、実際に応用的なプログラムを組んでるんだけどね」
「それから、反対側にいるあいつ。あいつは、Second Lifeっていうバーチャルワールド
内で実装されている言語、リンデン・スクリプト・ランゲージっていうんだけど、それを
使って仮想世界内で通用するプログラムを毎日組んでる」
「はあ」
池山さんにはぴんと来ないようだった。
「じゃあ、部室の反対側にいるあいつ」
僕はもっとわかりやすい作業をしている二年生の部員を指し示した。
「彼は3Dモデリングを練習しているんだ。SHADEというソフトなんだけど・・・・・・ほら、
画面が見えるでしょ」
そいつの作業中のディスプレイにはリアルな3Dのオブジェクトがでかく映し出されて
いた。これなら彼女にも理解しやすいだろう。
・・・・・・だが、僕は彼の作業中の画面を池山さんに紹介したことを一瞬で後悔した。その
画面上には、3Dでリアルに描写された幼女のヌードが大写しに描かれていたのだ。
・・・・・・おい。おまえはこの前まで確か人類初の恒星間移民船とやらの3Dグラフィック
を製作してたんじゃなかったのかよ。
こうして部員それぞれが好き勝手に作業している様子を紹介していると、だんだん彼女
は元気がなくなっていく様子だった。
「どうかした?」
僕は彼女に声をかけた。彼女はしばらく俯いていたけど、やがて細い声で話し出した。
「あの・・・・・・。あたし、パソコン部ってちょっと勘違いしていたかもしれません」
「勘違いって?」
「あたしは本当に初心者で、家のパソコンでたまに天気予報とかニュースとかミクシーと
か見るだけで」
まあそうだろうな。僕は最初から彼女のPCスキルに期待なんてしていなかった。でも、
そう考えていたわりには僕は彼女に部内でもスキルの高い部員が何をしているかを紹介し
てしまったのだった。
何でだろう? 僕は自己分析した。この可愛らしい、守ってあげたいという欲望を刺激
する一年生の少女に、うちの部の凄さを自慢したかったからかもしれない。つまり僕は彼
女に対してうちの部のレベルを感心させたかったのだ。それは、そうすることでスキルの
高い部員を擁する部の部長である僕を池山さんによく見せたかったからだろう。僕はこの
兄である池山君が大好きだという美少女に、僕に対して関心を持ってもらいたかったのだ
ろうか。
当初の目的を忘れ少し混乱しだした僕だけど、僕の最初の部活レクチャーが失敗してし
まったことはは理解していたので、まずそれをフォローすることが先決だった。
468Res/896.79 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20