女神
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186:名無しNIPPER[saga]
2016/04/07(木) 23:09:38.82 ID:HnyAwiIMo

 遠山さんを争っている役員たちの確執に手を焼いた僕は、副会長に相談した。意外なこ
とに、副会長は結構、彼女のことを知っているようだった。

「心配することはないと思うよ」
 副会長は言った。「遠山さんって、同じ学年の池山君っていう子と付き合ってると思
うし」

「そうなの? でも、何で君がそんなことまで知っていて、あのバカどもはそれすら知ら
ないで一生懸命なのさ?」

「たまたま駅が一緒なのよ」

 副会長は言った。「で、その駅で毎朝遠山さんと池山君っていう男の子がツーショッ
トで登校しているのを見ているから」

 それなら間違いないだろう。うちの役員のバカどもは報われない争いを自分勝手に繰り
広げているだけなのだった。

「まあ、既に遠山さんと池山君って噂になってきてるから」

 副会長は続けた。「あいつらがそれを知ったらこの騒動ももうすぐ治まると思うよ」

 結果としては彼女の言うとおりだった。役員たちは遠山さんと池山と言う同級生の存在
を知り、不承不承遠山さんに言い寄ることを諦めたようだった。

 遠山さんは仕事が出来る子だった。最初は目立たなかった彼女だけど、一学期が過ぎる
頃には既に生徒会の主要戦力といっていいくらいの存在に成長していた。僕はその頃まだ
優との破綻を引き摺っていたから、遠山さんがどんなに可愛いとはいえ彼女ことはよく仕
事をしてくれている下級生としか認識していなかった。そのまま、僕にとっては何も進展
しないままで一年間が過ぎた。僕は三年に進級し、この学校の通例どおり生徒会長からも
パソ部の部長から引退する時期となった。

 ところがこの年、いろいろと学校の制度改革が断行されたのだった。他校と比べて生徒
会や部活の引退時期が早いことなどが、高校を受験する生徒たちには不評だとして、改革
の槍玉にあがっていたようだ。当時は進学実績も悪くなかったことから、そういう改革を
する余裕があったのかもしれなかった。結局その改革案は学校法人の理事会でも承認され、
僕は三年生になってもパソ部の部長と生徒会長を続投することになった。そして三年生の
学園祭終了後が、新たな三年生の任期終了とされた。

 新しく生徒会の役員になった遠山さん、遠山有希さんはよく気がつく子だった。見た目
も可愛いし人気もあるのだけど、それを周囲にひけらかすことなく自然に生徒会に溶け込
んでいた。きっと頭がいい子なんだろうな。僕は一年生にして役員の中心となって働くよ
うになっていた彼女を眺めていて、よくそう考えたものだった。自分が可愛くて人気があ
ることに気がついていないような天然の女の子では絶対ない。自分の人気を誇らないよう
に意識して行動しているに違いない。その行動のせいで彼女は、可愛いけど全然それを鼻
にかけないいい人という評判を生徒会内で勝ち取っていた。多分、クラスの中でもそれは
同じだったのだろう。

 僕は当時はまだ成就しなかった失恋を引き摺っていたから、彼女のことが恋愛的な意味
で気になるということはなかったけど、ここまで意識して自分の行動を律する彼女には少
し関心を抱いたのだった。それはある意味、優と同じだ種類の女の子だった。彼女も昔周
囲の生徒に面倒見のいい女の子という演技をしていたっけ。でも、優は相当自分に嘘を言
い相当無理をしてそうしていたのだけど、遠山さんの行動は何か自然だった。そういう意
味でも僕は彼女に関心があったのだ。


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