185:名無しNIPPER[saga]
2016/04/07(木) 23:08:45.39 ID:HnyAwiIMo
部活と生徒会の先輩の勧めのどちらも、僕は二つ返事で引き受けた。優を失って他に熱
中することが見つからない僕にとっては、それは好都合な提案だった。僕はもう、同級生
たちのカウンセリングはしていなかったし、かといってあの幸せだった日々のように優と
いつでも一緒にいるわけでもなかったjから、せめてこういう活動の場に自己実現をしようと
考えたのだった。
形ばかりの選挙が行なわれ、その結果僕は生徒会長に選出された。これで僕は、パソ部
部長と生徒会長との二つの肩書きを持つことになったのだった。
そしてその頃、三年の先輩たちが引退する代わりに、一年生たちが生徒会や部活に入っ
てきた。パソ部の方は相変わらずといっていいだろう。女子はゼロ。まじめにプログラミ
ングを勉強したいやつもゼロ。自宅以外でもネトゲとか2ちゃんねるとかしたやつくらい
男しか入部希望者はいなかった。
生徒会の方は、それよりも前向きな後輩たちが希望してくれていた。うちの学校では、
生徒会長と副会長はセットで選挙で選ばれるけど、それ以外の役員は生徒会長が承認すれ
ば就任できるシステムになっていた。副会長は、同学年の真面目な女子だった。僕が希望
したわけではなく、前会長と副会長が勝手にカップリングしたコンビだった。彼女に個人
的な興味はなかったけど、生徒会を運営するには格好のパートナーだった。
一、二年生に向けて公開で募集していた役員ポストは、監査、会計、広報、庶務、そし
て人数不定の書記だった。まじめな学校ということもあり結構な応募者がいた。僕と副会
長は手分けして面接した。実はポストの半分以上は前年度からその役職についていた二年
生が継続することが普通だったから、全校の選挙で選出された会長と副会長以外のポスト
は毎年公募するといっても、実は前任者がほぼそのまま選ばれるという出来レースのよう
なものだった。それでも、昨年度の役員が今年はもう続けたくないと言って応募しない例
も少なからずあった。僕は一年生で生徒会の役員になったのも、そういう自主引退した先
輩の後釜としてだった。
そういうポストだけはしっかりと面接しなくてはいけない。僕はそういうポストへの応
募者の半分を面接した。特に印象に残る生徒はいなかったけど、とりあえず無難な生徒を
役員として選んだ。副会長の選んだ役員は数人だった。僕は直接面接していないので、そ
の生徒たちとは改選後の最初の役員会で出会うことになったのだ。
その中に、遠山さんという一年生の綺麗な女の子がいた。
十人前後の生徒会の新役員が集った席上で、僕は生徒会長としてあいさつしたのだけど、
視線は遠山さんという新入生の書記に奪われたままだったかもしれない。優に突然姿を消
され、要するに優に黙って振られたに等しい僕は、一年間異性に惹かれることはなかった。
女々しいかも知れないけど、異性のことを考えるときには常に優の笑顔が頭に浮かんでい
たのだった。
その僕が遠山さんを見た時、一瞬目を奪われるほど彼女の姿がまぶしく見えた。まるで、
優に好きと言われた時のような戸惑いが僕を襲った。でも、僕はすぐに体制を立て直した。
たかが可愛い下級生を見たくらいで動揺するとは情けない。優みたいに内面からも僕を魅
了するような女じゃないと、僕は動じないんだ。そう思ってその時の僕は同様を抑えて、
先輩らしく新人たちにあいさつしたのだった。
遠山さんが生徒会の役員に加わると、何となく男の役員たちが彼女を巡って微妙な駆け
引きを繰り広げるようになった。僕は内心不愉快だった。ここは生徒活動を自主的に管理
する組織なのに、恋愛とかに現を抜かしていてどうするのだ。僕は中学生の時の自分を棚
にあげて憤った。これで遠山さんが有頂天になり男たちを操っていたりしたら、僕も断固
として男共や彼女に注意したと思うけど、遠山さんは男たちの誘いに全く興味がないよう
で、むしろ自分を巡るそういう男たちの争いに無邪気に戸惑っているようだった。
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