143:名無しNIPPER[saga]
2016/03/06(日) 23:47:32.23 ID:lFgwUqheo
「だからさ、それで今日のお弁当は肉だらけで茶色くなっちゃったってわけ」
「まあそれでも俺は全然構わないけどな。あんまり俺なんかのために手をかけることはな
いよ」
「そうは言っても好きな人のために作るんだもん。手をかけて見栄え良くしたいじゃん」
「そういうもんかね」
「そういうも、あ」
優が突然話を止めた。俺は優の視線をたどった。その先には麻衣の泣きそうな顔があっ
た。
「麻衣?」
「お兄ちゃん」
「おまえ、二年の校舎で何してるんだよ」
「ごめん。今日はお弁当作れたからお兄ちゃんに渡そうと思って」
「今の俺たちの話聞いてた?」
「聞こえちゃったかも」
かもじゃねえだろ。でも、もうこうなったらしかたがない。
「そうか。おまえには話すつもりだったんだけど、俺こいつと付き合ってるんだ」
「こんにちは」
優が麻衣に微笑みかけたけど、麻衣はそれには応えずに俺の方を見た。
「あの」
「うん」
麻衣は元気はないようだけど、黙ってしまうということもないようだった。
「お姉ちゃんは?」
「有希? ああ。話したから知ってるよ」
「そうなんだ。授業始っちゃうからあたしもう行くね。お兄ちゃんにはお弁当もあるみた
いだし」
「え?」
「じゃあ」
「ちょっと待て」
麻衣がさりげなく涙を払った様子を見て俺は慌てて声をかけた。でも、麻衣には無視さ
れたみたいだ。
「先輩、失礼します」
麻衣は顔を合わせようともせずに、優に言った。
「さよなら」
優が不安そうに俺の方を見上げてた。今、俺がケアしなきゃいけない相手を間違えたら
だめだ。
「なあ」
「うん」
「妹のことは気にするなよ。あいつ、びっくりしてろくに挨拶もしなかったけどさ」
「無理ないよ。妹さん、お兄ちゃんっ子みたいだし」
ブラコンとか言わないんだ。優は、実は本当に気を遣えるやつなんだ。
「まあ普段から二人きりで暮らしてたしそういうこともあるかもな」
「あたしが心配してるのは麻人の方だよ」
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