末妹「赤いバラの花が一輪ほしいわ、お父さん」(最終章と後日譚)
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537: ◆54DIlPdu2E[saga]
2017/09/19(火) 00:17:05.35 ID:zRzorvHC0
(野獣「師匠?」)

(師匠「儂の推測に、ひとつ抜けていた要素があった……末妹嬢自身の力、か」)

(師匠「……君は魔法を習った経験は?」)

(末妹「あ、ありません」)

(師匠「だろうな、百も承知で尋ねたが」)

(師匠「……呪文、または呪文を込めた魔法具がなければ魔法は発動しないのはもちろんだが」)

(師匠「術者本人にそれを習得した自信、自分の力として使えるという自信がなくては成功しないのだ」)

(師匠「もしかしたら、野獣の欠片が末妹嬢にたったひとつの魔法の力を与えたのかもしれん」)

(末妹「!」)

(師匠「今回のように条件が揃って、そこに次兄少年という支えがいなければ発動しなかった力、そして」)

(師匠「末妹嬢の強い意志があったから無事に菫花達の元へ辿り着けた」)

(師匠「……と、いまだに推測の域だが、末妹嬢が終始受け身で巻きこまれただけ、と考えるより腑に落ちる」)

(次兄「へえ……末妹も、これが自分のたったひとつの魔法かもしれない、って言ってたな?」)

(末妹「うん、そんな気がしただけ、だけれど……あの時はそう思ったわ」)

(師匠「ふむ、では儂の説に自信を持っていいわけだ」)

(野獣「……末妹、お前は本当にすごい娘だな」)

(末妹「え、いいえ、そんな」)

(末妹「私の持つ力だとしても、何もかもが、私ひとりの物ではありません」)

(野獣「それでも、末妹であればこそ、この魔法になったと思うぞ?」)

(野獣「お前の……私や菫花を、師匠を、執事やメイド達を想う心が、私の欠片をそのように作り変えた」)

(野獣「私はそう信じている」)

(末妹「野獣様……」)

(次兄「ふむぅ」)

(次兄「ということは、欠片をもらったのがこの俺だったら……?」)
 


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