末妹「赤いバラの花が一輪ほしいわ、お父さん」(最終章と後日譚)
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445: ◆54DIlPdu2E[saga]
2017/02/05(日) 17:38:17.14 ID:51bwU4QR0
王子「……しかし第三王子は亡くなって、第二王子は……」

師匠「どうにか生きては戻ってきたが、起き上がることもできぬまま一ヶ月後には亡くなってしまった」

師匠「当時の王、お前の祖父の悲しみはどれほどの物であったか」

師匠「戦の後に国内が落ち着く頃には、病の床に就いてしまった」

師匠「その代行を務めたのは言うまでもなく第一王子」

師匠「病床の父、悲しみにくれる妹、戦の直前に結婚した妻、そして何より小国の民を」

師匠「それらが一気に彼の肩に」

王子「……」

師匠「元より、物心つくと同時に次代の王としての自覚と覚悟は持ち続けていたのだろうし」

師匠「陰では父親以上の立派な王になるだろうと、誰もが期待していただけはあった」

師匠「周囲の助けを借りつつ、少なくとも無難にはやるべき事柄をこなしていた」

師匠「一方で、王女には結婚の予定が前からあったが、戦と、二人の兄の喪に服すため、婚礼は延期され続けた」

師匠「……王族は異国人と、そうでなくても存在が認められない『隠し子』を持つことは許されなかったが」

師匠「正式な婚姻を結ぶのであれば、異国へ嫁ぐことは問題なかった」

師匠「お前の母は、『とある国』の第二王子……西の国との戦で成果を上げたその人物と、婚約していた」

王子「え……それって確か、南の港町にある、『英雄の像』の」

師匠「ああ、彼がのちに小国の民が安全に暮らせるよう尽力してくれたのは……果たして偶然かどうか」

王子「でも、母とは結ばれることはなかった……」

師匠「そうだ、王女の兄も妹のため手を尽くし、先方は何の問題もなく喪が明けるのを待ってくれるはずだったが」
 


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