末妹「赤いバラの花が一輪ほしいわ、お父さん」(最終章と後日譚)
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431: ◆54DIlPdu2E[sage saga]
2017/01/19(木) 00:12:08.38 ID:rAAmjg0o0
野獣(本当に、何事もなく……旅人を送り出してやれれば良いのだが)

執事「ご主人様、お疲れですか? 黙り込んだりして」

野獣「ん……ああすまん、考え事をしていた」

野獣「人間を屋敷の中まで招き入れ、一泊の宿を与えたのは今回が初めて、しかし」

野獣「付き合いの長いお前達には話したこともあると思うが」

野獣「執事もまだいなかった頃、森に迷い込んだ人間に、食事と一時の休息を提供したことは2回ばかりあってな」

執事「ええ、そのお話でしたら確かに」

料理長「最初はお祈りをする仕事の人、二度目は犬を連れた二人連れ、でしたよね?」

野獣「そうだ」

執事「……ご主人様は『そのあと』の話が気がかりなのでしょう?」

執事「わたくしは忘れてはいませんよ、ご主人様に従います」

料理長「わしも覚えていますよ」

執事「ただ、お話を伺った時点との違いは、庭師とメイドの存在ですが」

野獣「……」

野獣「そうだな、あの時私は……」

……

(野獣「……もし今後この屋敷を訪れた人間が裏庭のバラを折り取ったら」)

(野獣「その時には私はその人間を……罰さなくてはならない」)

(野獣「厳密に言うと、罰さなくてならない可能性ができる」)

(野獣「理由は明かせないが、いちど屋敷の門に入ることを許した人間に対して、裏庭を遮断するのは不可能で」)

(野獣「だから私が人間を罰するかどうかは」)

(野獣「バラ園に立ち入るのか、バラに手を出すのか、その人間の行動……意思次第というわけだ」)



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