末妹「赤いバラの花が一輪ほしいわ、お父さん」(最終章と後日譚)
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◆54DIlPdu2E
[saga]
2016/11/20(日) 23:54:00.12 ID:Ubs41WGA0
師匠「彼が魔物から得た魔力は、我々のような人間の魔術師の魔力とは異質なものだが」
師匠「英雄と呼ばれるほどの人間だ、本来は魔物のものであった力を使いこなし同時に制御する」
師匠「それは彼が持って生まれ、また鍛錬により研ぎ澄ませた、自身の実力」
師匠「……それでも人間には過ぎたものでもあった、本人がどこの誰より知っていた」
師匠「最初にしたことは持ち得る権力を最低限にするため」
師匠「名目上は自分への罰のため没収されたという形で、周辺国へ自分の領土の多くを分け与え」
師匠「もちろん該当する土地に住んでいた民に対しては最大限の配慮をした上でな」
師匠「あと、自分とまだ見ぬ自分の子孫達に監視役をつけさせた」
師匠「大陸中の魔術師ギルドの総本山をすぐ近くに置いたのだ」
王子「……魔術師ギルドが……王家の監視役……」
師匠「もちろん、常に掲げていた旗印『民のため』が存在理由の主たるものだが」
王子「……ええ、ですから……民が望んだから、ギルドはあの夜……」
師匠「……」
師匠(儂が許可したとは言えマフラーで隠した表情はわからんな)
師匠「……さて、そんなわけで小国とその王家の歴史は始まった」
師匠「英雄改め初代王にも子が生まれ……しかし逞しい肉体を持つ彼とは似ても似つかぬ虚弱な赤ん坊」
師匠「他の虚弱な子供達と違っていたのはその原因だ」
師匠「地表の水や空気や日の光、魔物のいくつかの種族には不快どころか生命を脅かすほどの毒となる」
師匠「初代王は魔物の力と同時に魔物の負の要素まで自分の肉体に取り入れてしまい」
師匠「どちらも彼の血に乗って子へと引き継がれてしまったのだ」
師匠「心身ともに強靭な彼自身にはともかく、生まれたての赤ん坊にはあまりに負担が大きすぎた」
王子「……」
師匠「初代王と魔術師ギルドは協力して対処方法を見つけた」
師匠「……王家の子供が生まれてから数年間、毎月行う『儀式』、お前も受けただろう?」
王子「……ええ、普通は物心つく前に必要無くなると聞きましたが、僕は極端に弱かったから5歳くらいまで」
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