末妹「赤いバラの花が一輪ほしいわ、お父さん」(最終章と後日譚)
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401: ◆54DIlPdu2E[saga]
2016/11/20(日) 23:56:22.24 ID:Ubs41WGA0
師匠「成長と共に体力がつき、地表の環境に体質が順応するまでの数年間」

師匠「定期的にある種の魔力を浴びせることで、悪影響を最低限に抑える」

師匠「本来はギルドの高位魔術師がちょちょっと呪文を唱えてやれば済むのだが」

師匠「何故か……我々の時代には、わざわざ勿体つけた動作も取り入れて『儀式』になってしまったらしいがな」

師匠「話を戻して……初代王と当時の魔術師達は代を重ねて血が薄まれば影響も薄れると考え」

師匠「そして初代王はそのまま薄れ行くことを願った」

師匠「……仮説は正しかったが、代を重ねて薄れるのは血だけではない」

師匠「外部の血を取り入れて魔物由来の魔力を薄めながらも、初代王の子孫となる家系が拡がった頃」

師匠「国を統べる王室とそれに近い王家の者は敢えて血縁者同士の婚姻を選ぶようになった」

師匠「教会が禁止している近すぎる血族は避けて、あくまで合法の範囲でだが」

師匠「それでも祖先を何代も辿れば、みな初代王に行き着く」

師匠「初代王の意図に反し、彼の血は、魔物の力を得た代償は、再び濃くなった」

師匠「民や王家の子供に伝えられる歴史が書き換えられたのも、その頃からと言われる」

王子「……代を重ねて薄れたのは、始祖の願い……」

師匠「うむ、その頃の王家には領土を広げたいとか他国への影響力を高めたいとか、とにかく欲が芽生えて来た」

師匠「そのため、かつての英雄の魔力を取り戻したいと考えたのだろう」

師匠「しかし戦闘に使えるほどの魔力を持つ子は殆ど生まれることなく」

師匠「自然な状態では乳児期を乗り越えられない虚弱さだけが引き継がれた」

師匠「しかたなく王家は、英雄の魔力以外の方法で武力を強化する方針に乗り換え」

師匠「一方では英雄の血を残すそのものを目的として、しきたりを作り、血縁同士の婚姻を結び続ける」

師匠「……お前の父と母が従わざるを得なかった『しきたり』だ」

王子「……」

師匠「……ようやくお前の両親の話になるかな」

師匠「儂がお前の父親に初めて会ったのは……」



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