末妹「赤いバラの花が一輪ほしいわ、お父さん」(最終章と後日譚)
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24: ◆54DIlPdu2E[saga]
2015/11/29(日) 00:03:43.67 ID:SV0bJE2A0
王子「彼女には舞踏会の招待状を受け取ってからを夢と思わせたにしても、実物として存在するあのドレスは?」

師匠「うむ……」

師匠「証拠隠滅のために我々が没収する手もあったのだが、それも……どうにも忍びなくてな」

王子「師匠」

師匠「わ、儂ではないぞ!? 魔術師ギルド唯一の女性幹部、面識くらいあっただろ、主に彼女が強く反対して!?」

師匠「……検討の結果な……王子は魔術師ギルドに通うための私服を、自分の小遣いで新調しようとしていた」

師匠「が、そこで王子は何を間違ったのか、仕立屋に女性物のドレスを発注してしまい」

師匠「届いた現物を見て自分のミスを知った王子はさんざ悩んだ挙句、『どうしよう、返品は店に迷惑がかかるし』」

師匠「『それに父上母上にバレたらどうなるやら、頼むから娘さん引き取ってくれ』と」

師匠「必死に頼まれたあの娘は、やむにやまれず……というストーリーの暗示をかけてやった」

王子「」

師匠「他ならぬお前ならばさもありなん、というエピソードだろう?」

王子「……娘さんも、それを信じたのですね……」

師匠「誕生プレゼント、世話になっている感謝のしるし、他にも案は出たが」

師匠「間抜けてほほえましい思い出の方が負担にはならぬと思うのだが?」

王子「間抜け」

王子「……そうですね、本来、死をもって償うほどの過ちを犯した僕です……」

王子「彼女が王子という人間を間抜け程度の認識で済ませてくれるように図ってくださったのは、感謝こそすれ恨むのは筋違い」

師匠「少しは恨んでいるかのような言い草だのう」

師匠「……」

師匠「儂は、あの娘が図書館の仕事を辞めた後」

師匠「結婚して一人目の子供が生まれた頃までを直に見届けた、何度か会って話もした」

師匠「夫となる男の求婚を受け入れてから、あのドレスは処分しようかと思ったそうだが、それを男に止められたそうだ」

王子「……?」
 


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