末妹「赤いバラの花が一輪ほしいわ、お父さん」(最終章と後日譚)
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◆54DIlPdu2E
[saga]
2015/11/29(日) 00:01:53.05 ID:SV0bJE2A0
野獣の屋敷、師匠の自室。
師匠「ふむ、あの子達に渡す鏡か」
王子「ええ、これです」
師匠「どれ、小さいがいちおう鏡台になっているのだな」
師匠「ガラスの鏡だが、枠も覆いもしっかりした木製だ、これなら馬車の揺れ程度では割れる心配もなかろう」
師匠「それに若い娘の部屋に置いてもさほど違和感のないデザイン」
師匠「お前にしては気が利いている」
王子「……野獣と話をしたくて、お茶会の後にひと眠りしたんですよ」
王子「『いくらでも余っている客間のひとつに据え付けではない小ぶりの鏡台が置いてあるから、それを使え』と」
王子「聞いてよかった、僕ならあの子の部屋との調和も考えずに、こんな鏡を渡す所でした」
王子「これも使わない客間にあったものですが」コトッ
派手な飾り付きの鏡:ゴテゴテギラギラー
師匠「……確かにこれも女性が使う鏡だが、なんというか…少なくとも清楚な少女の部屋には似合わんな」
師匠「いかにもな成金のマダムが使いそうな、と言うべきか」
王子「……やはりセンスが悪いですよね、僕って」ハァ
師匠「お前が図書館の娘に送ったドレスは、なかなか趣味が良かったのにな」
王子「…………あれは、彼女が好きだと言っていた色だけをこちらで指定して…デザインは仕立屋まかせです」
師匠「そうか、しかしあの明るい青は彼女の黒髪によく映えておったぞ」
王子「……そう言えば、師匠」
師匠「うん?」
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