魔王「死ぬまで、お前を離さない」 天使「やめ、て」
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409: ◆OkIOr5cb.o[saga]
2016/08/12(金) 09:34:30.15 ID:0zkY4LHl0

近衛の言葉を聞くよりも早く、魔王は片手をあげて魔力を収束させた。
無言のままで足元に連続で打ち込まれていく魔力弾。

吸い込まれるように地を抉り取るそばから、蒸気に似た白い煙が立ち上っていく。
メキメキと植物の裂ける音が足元で響き、獣たちが尾を立てて唸り始めた。


魔王「懸念の必要はない。余力のあるものは、俺に続いて打ち込め」


魔王の言葉に、最初に従ったのは亀姫だった。
小さな結界を作り、扇でそれを叩き付けるようにして地へと打ち込んだのだ。
――威力こそ小さいものだったが、亀姫がそれを無言で繰り返しはじめたのを見た他の魔族も、各々の方法で自らの持つ魔素を大地へと浴びせていく。


土地はメシメシと裂け、枝とも根ともわからぬ植物が断面から飛び出し、
しなやかに伸びてはブチブチと引き裂かれる。
それは、動物の持つ神経や血管にも酷似して見えた。


裂けて小さくなった大地は、落下を速めていた。
魔物たちの打ち込む魔力で、大地は数十に別れてはパラシュートのようにゆっくりと落ちていく。


魔王「……これくらいで十分だろう」

亀姫「あとは、着地を待つだけですわね。ふふ、戦の帰路が僅かに揺られる穏やかな時間だなんて、嘘みたいですの。まるで船旅のよう…」

魔王「……楽園を見つけられないままに、彷徨いおちる箱舟か?」クク






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