魔王「死ぬまで、お前を離さない」 天使「やめ、て」
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349: ◆OkIOr5cb.o[saga]
2016/05/11(水) 01:17:19.72 ID:ofIrSduQ0

それでいいはずだった。充分だと思っていた。
それ以上は望めるわけがなかった。だから、納得できていた。――なのに。


神「私の手を取ってくれ。――共に、生きよう」


いっそ大嘘だと言ってくれ。そんなこと本当に出来るわけないと。
騙してやったと、そう言って嗤ってくれ。


魔王「……もう、これ以上、お前の言葉を聞いている気になれない…」


腰元で構えていた刀。元より抜身のその刀を、上段に大きく振り上げる。
何もかもが鬱陶しくて気障りだったから、迷いごと、一刀両断に斬り捨ててしまいたかった。


神「魔……!」


夢を見せられて、息苦しい。
掲げた刀が重過ぎる。


魔王「死ね……!」


ビュ…ッ………
ガギィン……!


神に向けて、振り下ろした刀。
無防備な神を、斬り捨てるための一太刀。



魔王「…………っ…!」



神「…………ぇ」



その切っ先は神に届かないまま
勢いよく地を斬りつけた。

迷いが、一歩踏み出すことを阻んでしまったのだ。


神「…………魔、王…?」

魔王「…………っ」




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