魔王「死ぬまで、お前を離さない」 天使「やめ、て」
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◆OkIOr5cb.o
[saga]
2016/04/22(金) 00:06:54.36 ID:XCb4AxA00
亀姫「……一息に斬り捨てればよいものを。まさか肉斬りの趣味がおありなの?」
多少の嫌悪感を浮かべた様子で、亀姫は問いかけてくる。
誤解をされてはたまらないが、そう見えても仕方ないだろう。近衛は苦笑し、弁解する。
近衛「いえ。こうすれば、“怖ろしく生々しい作業だ”と、吐き気のひとつも催すかと思ったんですよ」
亀姫「おかしなことを。近衛、あなた吐きたかったんですの?」
近衛「…それこそが、この神族への供養になるかと。生死の尊厳を確かめ、彼の死を悼ましく感じるかと。…ですがなんだかんだ言って、容易く斬れてしまいましたね」
亀姫「……はぁ。つまらぬことを仰いますのね。元より私たちが見つけた時点で、これはただの死骸ですわ」
近衛「そうだとしても、彼を斬ることは残酷で冒涜的な行為だと思ったんですが。…ただの、偽善だったようです」
亀姫「悼むべきは死ではなく、生の在り方と失われ方ですわ。戦場で失われた生を悼むなど、却って欺瞞。誇りを穢す行為と知りなさい」
近衛「自分はもともと、戦場の心得など知らぬ弱い人間でしたから。奪われた生を見て悼むのが、人間らしさと思っていましたよ」
亀姫「…そうでしたの。でも今は戦場に生きる魔王の配下でしょう?」
近衛「……ええ、そうでしたね」
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