魔王「死ぬまで、お前を離さない」 天使「やめ、て」
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227: ◆OkIOr5cb.o[saga]
2016/01/20(水) 05:33:51.79 ID:/1IMYSK40

悪夢のような惨状の中を、助けを求めて、妹の手をひいて走った。
街の中を走れば、誰もが自分の顔を知っていた。
そうして誰しもが呪いの言葉を投げてきた。


「おまえのせいだ」

「おまえが原因なのだろう」

「おまえさえいなければ」


焼け焦げた赤子を抱いた女が、狂った目つきで「おまえさえ死ねば…」と包丁を刺してきた。
それを見ていた誰かも、「そうだ。おまえが死ねば終わるんじゃないか?」と、砕けたレンガで殴りつけてきた。


近衛は何も知らなかった。ほんの数日間、勇者としてもてはやされただけ。
たったそれだけのことの代償に、全世界から理不尽に恨まれた。


手をひいていた妹は、恐怖に満ちた瞳で自分を見て足を止めた。
命を狙われている自分の巻き添えにさせてはいけないと、唇を噛んで、妹の手を離して駆け出した。

その直後に、妹が狂気に満ちた誰かに殴り倒されるのを見た。
世界のすべてが敵になって、近衛に襲い掛かってきた。




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