89: ◆DTYk0ojAZ4Op[saga]
2015/09/05(土) 00:55:24.73 ID:X+mP6cx90
キャリッジは一定の路線を時刻表に従い巡航する仕組みのようで、
近くの停留所から乗る事ができた。
乗ってみるとこれがなかなか気分がいい。
乗合馬車のような生物独特の息のついた牽引と違い、
等速のため乗り心地が非常になめらかだ。
道の凹凸は板バネに吸収され、喋っていても舌を咬む心配がない。
これで運賃が乗合馬車と変わらないという。
戦士「これじゃあ辻馬車は商売上がったりだな」
勇者「そうなんだよ。
鉱山都市の基本交通手段だね」
戦士「…これが、魔女の発明」
勇者「物憂げだね」
盗賊「物憂げですな」
戦士「…いや。これだけの発明なのに」
勇者「なぜ追われるのかって?」
戦士「悪さをしなければ追われないだろ」
勇者「ま、そうなんだけどね」
盗賊「時として逸脱したものは追われますな」
戦士「とんでもない発明だ。
これじゃあ馬車は必要なくなる。
なぜ量産化しないんだ?」
勇者「できないからだよ」
戦士「………すでに3台とすれ違ったが」
盗賊「正確には、鉱山都市以外では動かないからですな。
…そろそろ着きます」
気付けば鉱山都市のはずれまで来ていた。
山間の、気を向けなければ目立たない、
大きく広がる黒い池。
路線はここで終わりらしい。
乗客も居なければ、人通りもない。
それらを受け入れる建物もない。
ただ、砂埃をあげ、風が吹くだけの場所。
その先に広がる用済みの土地。
御者が声をあげる。
まるで一刻も早く立ち去りたいとでも言いたげに、
つまらなそうな声だった。
「…最終処分場ー、最終処分場ー………」
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