魔女「ふふ。妻の鑑だろう?」
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499: ◆DTYk0ojAZ4Op[saga]
2016/07/11(月) 19:25:43.06 ID:UgjJ0tqW0



彼我の距離は目測で10メートルは離れている。
それは恐らく、互いに容易く距離を詰められる間合いではあるが、
賢者はまず自らの絶対的に信を置く、その疾さを試したのだ。
正眼に立つ異形の魔神、その正面から、糸を引くような剣先が横薙ぎに黒色のプレートメイルの継ぎ目を狙う。

魔神は刹那の反応の遅れを示し、だがしかし最短の動きで身構え、一枚板のような大剣で左半身を覆い隠した。
甲高く耳障りな金属音が響く。
ぶつかり合う細身の直剣と黒色の大剣、その圧倒的質量差に賢者の身体は浮き上がり、
しかしその接触点を支点に身を魔神の背後へと巡らし更に攻撃に転じた。
踏んでいた通り、やはり疾さにおいてはこちらが有利。
返す刃で背後から右肩を狙う。

その斬撃は繰り返す事三度。
二種類の肉体強化、気流制御、歩法、持てる技術の全てを駆使した賢者の速度は、
もはや自らの認識の限界の処まで来ている。
五感はその速度に僅かに追いつかないが、彼女のたゆまぬ鍛錬と豊富な戦闘経験がその速度を可能とさせていたのだ。

しかしその斬撃はいずれも僅かに身動ぎした魔神の鎧によって防がれた。
振り向きざまに振るわれる大剣を認識し、彼女は息を呑んだ。
恐らく大剣の重量だけでも彼女の体重を越えるだろう。
更に驚くべきはその剣速。
移動速度、身のこなし、判断速度、そのいずれも彼女は魔神をも上回るが、
ただひとつ、その大剣の剣速だけは彼女の速度を上回っていた。


賢者「ぅああっ!!!」


異形の身体を蹴り飛ばし距離を取る。
そのまま空中で反転し、魔神の間合いから逃れると共に、彼女は渾身の魔力をもって、
一工程で行使できる最大威力の火炎魔法を投げ遣るように発した。
しかし魔神は一瞬で息を溜め、剣を構え跳躍するが如く逃れる賢者へとその身を踊らせる。
火炎魔法はいずれも馬車程度なら吹き飛ばす威力のものだが、
魔神はその火球を意にも介さず疾走した。
魔法の直撃をその身に受けながらも猛然と迫る怪物に、賢者が思わず身を居竦めた事を誰が責められよう。
その一瞬の間は大剣を回避するに致命的な隙となったが、
彼女は当惑しながらも魔力による防壁を三重に展開、加えて剣を構え、斬撃の防御を試みた。





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