魔女「ふふ。妻の鑑だろう?」
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498: ◆DTYk0ojAZ4Op[saga]
2016/07/11(月) 19:21:49.39 ID:UgjJ0tqW0


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鉛色の異形を漆黒の鎧で武装し、
携えた大剣を持ちて繰り出される剣戟は、
相対した者をまさに紙細工のように打ち砕く。
肉体強度は卓越した戦士の斬撃で僅かに傷がつく程度。
知性的であり卓越した戦術眼を備え、自らの存在に誇りを持ち、
冷酷ではあるものの人間にも一定の理解を示すようだ。
魔法の練度についての詳細、不明だが低く見積もって小さな城壁を吹き飛ばす程。
恐らく人間の到達し得るレベルではないと見ていい。

問題は、この諸情報は、例のハルバード使いによるものという事だ。

あれほどの武芸をもってしても、この魔族は近接戦闘においてなお上回るという。
賢者の剣技はその例の男には及ばぬものである上、彼には魔法の才は無く、
その情報には若干の加重をかけねばならない。

広間では方々で悲鳴が上がり、
腰を抜かす者、逃げ出す者など様々だ。

どうやらこの怪物の存在は魔法王のみの企みによる結果なのだろう。
遠い玉座に座す魔法王の表情は、この状況に似つかず強張っていて、
魔神と対峙する賢者の姿をただ見つめていた。


魔法王「殺せ。その後は、好きにして良い」


そして王は語る。
敢えて言葉として受け入れる必要もなかったが、
使役する魔神への命であると同時に、賢者へと向けた通告とも取れるその言葉に、
賢者は心が激しく毛羽立つのを感じた。


賢者「………ふぅー…」


彼女はひとつ息を衝き、抜剣し、
剣先を柔らかく振り身体に魔力を通わせ、更にその魔力を室内の気流へと乗せた。
肉体から迸る視認を可能とするほどの魔力は蒼白い光の絹糸となり、
そのうねりは柔らかく揺れる細い剣先に全てを委ねているようだった。

気流のうねりはやがて激しさを増し、
遠く近く吹く風音が共鳴し合い、茫々たる天地に吹き荒れる嵐が奏でる音色を思わせるようになった時、


賢者「………はっ…!」


魔神の眼前から、魔法使いの姿が消え去った。






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