495: ◆DTYk0ojAZ4Op[saga]
2016/07/11(月) 19:08:47.46 ID:UgjJ0tqW0
勇者「………国王亡き今、私に緊急権が与えられた意味をよく考えろ。
所詮、私は未だ18の小娘に過ぎん。
戦が終わればその役目は終わりだ。
貴様も国の行く末を案ずるのなら、圧倒的戦力を持って敵を粉砕する方策でも考えるがいい。
…和睦の道があろうとなかろうと、それは我々の範疇ではない。
そういった話は宮廷で脳天気な話し合いをするような連中に任せておけばいい」
男は大将となってまだ日が浅く、
年齢も34と若かった。
理想と現実に引かれ合い震える身体を拳を握り締める事で堪え、
第三師団長「………わかり、ました」
なんとかその言葉だけを絞り出し、
銀髪の、上官でなければ小娘と呼ぶになんの躊躇もないであろう指揮官に背を向けた。
怒りが湧く度にその怒りが行き場を失い、暗い夜道にも似た喪失感、無力感に苛まされる。
男が部屋の扉に手をかけたその時、
その背に、勇者からなにやら言葉が投げかけられた。
第三師団長「………なにか?」
勇者「…いいや。
そういえば、貴様の履歴を見た。
なかなかに優秀な人材のようだ。
私が居る限り、我が軍に敗走は無い。
それだけは信じて欲しい」
第三師団長「あなたの強さは信じて疑いません。
…が、無敵とはいかないでしょう」
勇者「………なぜそう思う?」
第三師団長「あなたは左腕をあまり使わない。
理由はわかりませんが、過去に受けた傷が原因なのでは?」
勇者「……………」
第三師団長「…失礼する」
男が去り、また目を伏せた勇者は左腕を静かに掻き抱く。
その左手の指先は、微かに震えていた。
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