494: ◆DTYk0ojAZ4Op[saga]
2016/07/11(月) 19:07:20.41 ID:UgjJ0tqW0
勇者はしばらく目を伏せていたが、
勇者「黙れ」
不意の、
髪から垣間見せた鋭い一瞥、
そしてただの一声の、煮え滾る内腑から絞り出すような低い声。
それはこの第三師団長という男を居竦ませるに充分に事足りた。
第三師団長「………!」
勇者「我が軍の指揮官は誰だ?」
第三師団長「………それは、あなた、だ」
勇者「そうだ。
…この戦の指揮官は私だ。
兵たちの生死も勝敗も、私の持つ権利だ」
第三師団長「…それは、危険なまでに傲慢な考えです。
指揮官には兵をできうる限り生還させる義務がある」
勇者「そんなものはない。
わかるか?
そんなものは、無いんだ。
兵が持つ義務とは、命を賭して指揮官に勝利を齎す事だけだ」
第三師団長「それでは!あなたの歩む道の先には、
あなたしか居ない事になる!」
勇者「それでいい。
例え私の指揮で全軍が滅びようと、
目指す勝利の先が無人の荒野であろうと。
…この戦の指揮官は私だ!」
第三師団長「……………」
勇者「戦争の発端がなんであろうと、
民がどう思おうと関係ない。
長期化した戦の産む犠牲がどれだけ多くとも、
敵国を滅ぼすという目的は変わらない。
和睦の道?ふざけるな。軍人が口にしていい言葉ではない」
第三師団長「しかし!
…しかし、それを出来うるのは、もはやあなただけだ!
英雄の再来と言われ、大権を委任されたあなたになら…!」
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