459: ◆DTYk0ojAZ4Op[saga]
2016/03/28(月) 01:55:30.60 ID:IMgzJVX60
憲兵「まずひとつ。
潜入していたのなら、君の言を信じるとすれば、
君は宮仕えの諜報員だ。そうだな?」
男「そうだ。中原王の子飼いのようなものだ」
憲兵「なら、王室の情報には詳しいはずだ。
中原の先王は表向きには病没とされているが、
本当の死因を知っているだろう。
それはなんだ?」
男は一瞬目を丸くしたが、
落ち着いた声でその質問に答える。
男「……………毒殺だ。
下手人は、王妃の」
憲兵「正解だ。
部下、縄を解いてやれ」
男「…なぜ、それを知っている?
王室の、一部の人間にしか知り得ない事だ」
憲兵「私も君と似た事を生業としていた。
誰のした事かは知らなかったが、
先王が精神を病んでいたという情報は正しかったようだな」
縄が解かれた男はその場に背を向けようとし、
振り向いて憲兵を見やった。
男「その、黒髪。
君は…」
憲兵「よせ。私は君の事を忘れる。
君も、私を詮索するな」
男「…貴公の寛大かつ賢明な措置は、
七つの山をも超えて知られるだろう。
感謝する」
それだけを言い残し、男は林の奥へと消えた。
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