450: ◆DTYk0ojAZ4Op[saga]
2016/03/28(月) 01:44:54.44 ID:IMgzJVX60
魔女「外套はそこにかけておくといい。
濡れたままでは辛いだろう?」
言いつつ、ティーサーバーを傾ける。
憲兵「ありがとう。
…魔法使いの家にしては、簡素なものだな。
その手に持つものも、魔法で動かせるんじゃないか?」
魔女「依存は良くない。身も、心もだ」
カップを机に置き、彼女は続けた。
魔女「なまってしまうじゃないか」
憲兵「はは。本当に、異端者と呼ばれる事も頷ける」
魔女「だが、魔法とはやはり便利なものだ。
上着も脱ぐといい。乾かしてあげる」
憲兵「…ああ、頼む」
魔女「それと、外にいる弓使いにも入ってもらって構わない。
この雨の中外で待たせるのは、心苦しい」
憲兵「どうして、弓使いが他に居ると?」
魔女「弓を引き絞る音、矢が走る音が聴こえた。
君は北から歩いてきたが、矢は西の方角からだ」
憲兵「…参ったな。100メートルは離れているのに」
魔女「雨の日は特にわかりやすい。
耳を凝らせば半径250メートル内なら、雨音ひとつまで聞き分けられる。
耳を凝らせば、だけど」
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