45: ◆DTYk0ojAZ4Op[saga]
2015/08/29(土) 20:41:54.31 ID:tNq3pxyB0
魔女の魔法によるものなのか、
部屋に損傷はほぼなかった。
ただひとつ変わっている事は、
彼女の研究室への入り口がなくなっている。
戦士「…そうか。魔法が解けちゃったんだな。
研究室って…なんの手がかりもなしか」
魔女の言葉を思い出そうとして、
わけもわからず、涙が溢れてきた。
―――戦士。私と、結婚してくれないか?
戦士「…違う。そこじゃないんだ。
…思い出そうとしてるのは、
最後の、言葉を」
どれだけ堪えようとしても、
彼女との生活だけが思い出されてしまう。
よりにもよって、
未来を改めて誓い合った、星見の夜に。
幸せになれるなんて言わなければ良かった。
最初から、2人で居れば良かった。
隠れていろと、強く言い含めておけば。
壁にそっと手を当てる。
冷たい漆喰の温度が手に刺さるようで、
彼女のいない寂しさを表しているかのようで、心がけばだつ。
戦士「………なんだ…?」
…胸元が、温かい。
じわりと肌に吸い付くような、温もり。
彼女が帰ってきたかのような。
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