410: ◆DTYk0ojAZ4Op[saga]
2015/12/30(水) 01:42:51.61 ID:+mjVyJCo0
閃光魔法ひとつで切り抜けられたのは奇跡に近い。
城から離れ、城下町の路地裏で肺の奥まで息を引き込んだ。
憲兵「助かった…が。
君は一体、誰だ?」
男は訝しげに見つめてくる。
よく見なくても端正な面持ちだ。
通俗な親しみやすさの中に、隠しきれぬ毛並みの良さも見て取れる、
清濁併せ持つ危うげな完璧さを秘めている。
見習には、それがどこか気に食わなかった。
盗賊から言付かった内容を話す。
憲兵は見習の拙い話しぶりに深く耳を傾け、頷き、
憲兵「…そうか、それで。
すまないな、敵方にも関わらず、危ない橋を渡らせてしまった」
だなんて、仮想敵国のスパイへの気遣いなんてものを吐くから質が悪い。
見習「いいや、俺は別に構わないんだ。
じゃあ俺はもう…」
部下「そういう訳にも参りません。
あなたは知りすぎている。
我々と行動を共にして頂きます」
突然の声に路地裏の出口を見れば、
立襟の外套を身にまとった旅装束の女性が立っている。
中肉中背、特に印象に残らぬ顔。
つまり普通程度には見れる顔だが、
とりわけ目を引かれるものはない、そういった顔。
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