408: ◆DTYk0ojAZ4Op[saga]
2015/12/30(水) 01:41:01.64 ID:+mjVyJCo0
「起きましたか。
詳しく説明している暇はありません。
あなたに、頼みがあるのです」
その時目覚める前の最後の記憶は、向う脛に重い一撃を貰ってよろめき、
後頭部をしこたま殴られたところだった。
目が覚めれば右足には添え木が当てられ、
額には手拭いが置かれ、
顔を覗き込む初老の男。
己を打倒した男に介抱されるほど、屈辱的なことはない。
「執行部は、勇者殿に襲撃された。
そうですね?」
なんでこいつが知ってんだ、とその時は思った。
「すみません、記憶を読ませて頂きました。
私の扱える唯一の魔法です。
…頼みを、聞いて頂きたい」
「私はこれから魔研に向かいます。
勇者殿を止めるためです。これは私にしかできないつとめです。
あなたは王城へと向かってください。
そして、なんとかしてある男へと接触し、この惨状と、魔研で起こった事を伝えるのです。
憲兵という、信用の置ける男です。
それがきっと、魔法の王国のためにもなります」
「疑うのなら心を読んで頂いても構いません。
できない?…なるほど。では、信じてくださいと言う他ありません。
私とその憲兵という男は、あなたたちよりも、この世の中に詳しい。
…少しだけ。少しだけですが、ほんの少しの真実を知っている」
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