魔女「ふふ。妻の鑑だろう?」
1- 20
357: ◆DTYk0ojAZ4Op[saga]
2015/11/23(月) 01:31:59.83 ID:9DwdlqBj0



心を覗かれかけた事からして、
目的は彼女の持つ情報と考える事が自然だ。
だが精神侵入は未然に防がれたはず。
その意味するところは、


賢者「…いったい、『何をされた』のかしらね」


目的とは、賢者の少しだけ開いた心に、
「なにか」を遺していく事だ。

陽はやがて沈み、
影は昏く長く、やがて夜の帳を下ろす。
外は蝙蝠がぎゃあぎゃあと鳴き、
窓から差す夕陽が室内の湿気を洗い流した。

それで、残された気配は完全に消える。

目的はわからないが、
それは人に仇なすものとしか考えられない。
年数にもよるが、一介の魔法使いの敵う相手ではないだろう。
一刻も早く都へと向かう必要がある。

賢者は自己に誇りを持たない。
故に、自らが敵わぬ事など大した問題にはなり得ない。
どんな難敵だろうと、打倒できる手段は必ずあるのだ。

旅支度を整え、宿を跡にする。
町は先ほどまでの喧騒が嘘のように静まり返っていた。


賢者「髄から骨、肉から皮へ。
   流れ還る力の渦は我が四肢をそうならしめよ」


肉体強化の呪文を唱える。
イメージするはかつて見た、エルフの手により育てられたという駿馬。


賢者「人の身のいましめを脱し、我が身は草原を駆ける。
   風のように。
   音のように。
   朝が来ずとも、陽が沈まぬとも。
   …我が疾走は、決して止めぬ」


一陣の風に乗り、賢者は魔法の都へと駆け出した。






<<前のレス[*]次のレス[#]>>
585Res/472.43 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice