魔女「ふふ。妻の鑑だろう?」
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352: ◆DTYk0ojAZ4Op[saga]
2015/11/23(月) 01:24:01.42 ID:9DwdlqBj0



少年「…あれ?」

賢者「……………」

少年「意外と可愛いね。
   もう喋れないか」


瞳の色を失い呆ける賢者の額に、そっと光る指先を触れさせる。
人のものとは違う、強力な催眠。
魔力の糸を心の奥底まで伸ばす瞬間はこの少年にとって嗜好するものに値する。
どれだけ肉体を蹂躙しようと、これに勝る征服感は味わえないから。


少年「さて。
   ちょっと小細工させてもらうね。
   君は、逃げ足が速いから…」


細い糸を滑らせ、
ひとつひとつ心の壁を紐解いていく。
読心とは異なる、這うような精神汚染。


少年「やっぱりロックされてるけど。
   このくらいなら」


引き金をひとつひとつ下ろすように糸を滑らせる。
他者の心象風景は自らの心とは異なるものだ。
それを一度映像化した上で自らの心に投影する。
この少年はピッキングのようなイメージを好んだ。
心に咲く小さな悪の華。その小さな遊び心で、
他者の人生を大きく狂わせる趣向こそ、
この少年の本質なのだろう。


少年「…でーきた。
   おじゃましまーす」


開いた心の壁の先。
鍵は既に用をなさず、扉は開け放たれている。
僅かな達成感と旅立ちを前にするような高揚感に少年の心は踊った。

しかし、
鍵開けに没頭していた事が災いしてか、
少年には気付くことはできなかった。
賢者は間諜であり、情報は守られねばならない。
持つ情報の機密性には国家レベルのものすらもある。

その可用性を守るものは、決して鍵のみではない。
乙女の寝所には、番人が居るのだ。






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