348: ◆DTYk0ojAZ4Op[saga]
2015/11/23(月) 01:19:30.42 ID:9DwdlqBj0
少年「お姉さん、魔法使いなの?」
いつの間にそこに居たのか、
端正な顔立ちをした、黄金色の髪の少年がカウンターの隣に座っていた。
賢者「……………」
知覚魔法を使っていないとはいえ、
これだけ接近されて気付かないとは。
賢者は少年を見て、不可思議な違和感を覚える。
この少年には気配が無いのだ。
確かに少年の姿をその双眸で捕らえては居るはずだが、
まるで本来そこには居ない者のような、
例え頬を撫でられても気付かないような。
存在を目にしているのに、瞳に映っていないかのような。
賢者「…そうね。
魔法使いかもしれないわね」
しばらく警戒心を強めていた賢者だったが、
無邪気に微笑む少年に少しだけ毒気を抜かれ、
賢者はつい、答えを返してしまった。
少年「ふうん。やっぱり魔法使いだね。
それも、かなり高位の術士だね」
賢者「それで?君も、そうなの?」
賢者がそう尋ね返した事に、少年は幾許かの疑念を抱いたようで、
少しばかり頭を捻った後、答えた。
少年「僕は…そうだね、魔法使いなんだけど、
ちょっと違うのかも」
賢者「魔法が使えるのなら、魔法使いよ。
自慢できる事だと思うわ」
少年「いや、本来魔法使いだった、が正しいのかなぁ」
賢者「だった?今は使えないの?」
少年「使えるよ。
でも、魔法が使える事だけが魔法使いの条件じゃないでしょ?」
585Res/472.43 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20