283: ◆DTYk0ojAZ4Op[saga]
2015/10/05(月) 03:41:33.42 ID:D2uU4S3W0
憲兵「不審な男?」
兵士「ええ、郊外で確保されました。
たまたま出回っていた兵が声をかけたところ、
死体を埋めていたとかで」
憲兵「死体、ね。
最近は王都も物騒だな」
兵士「ですが、その被害者の身許というのが…」
憲兵「身許?
そんなもの、すぐわかるだろう」
兵士「わかってしまうのが問題なのです。
まぁ、一度見てみてください」
城の地下へ向かう。
地下は地熱と地下水を利用した簡易的冷蔵室となっていて、
貯蔵庫にも使われてはいるが、
我々の目的はその奥に存在する死体置き場だ。
存在を知らなければつい見落としてしまうような階段は、
闇色に満たされ、その先を隠している。
我々はランプを片手に闇に身を潜らせる。
階段を一段降りる度、鼻を刺す死臭が強くなり、
足取りは徐々に重くなる。
石造りの階段には足音がよく響き、
死の国へ足を踏み入れる自らの姿を俯瞰させるようだ。
憲兵「…死体は、俺は会った事があるのか?」
兵士「まぁ、一度だけですが。
どうぞ」
一室に通される。
死体には番号が与えられているが、番号通りに並んでいるわけではない。
事件性や共通する状況など、同時に捜査が進められるべき場合に、
同じ部屋に収容されるのだが…。
憲兵「この部屋は。
…近衛師団長の」
部屋には、解剖が済み縫合された近衛師団長、宰相の死体。
そして見覚えのある、新たな死体が並んでいた。
憲兵「………兵長、殿」
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