262: ◆DTYk0ojAZ4Op[saga]
2015/10/05(月) 03:16:49.07 ID:D2uU4S3W0
盗賊「……………」
盗賊は思案する。
この惨状の下手人はともかく、
彼方に映ゆ、燃え上がる研究所。
魔研への襲撃を知り、駆けつけたのであろう近衛騎士団。
そのどちらもが壊滅し、得をするのは一体誰なのか。
…その結論は、決して責められるものではない。
だが戦争はもはや避けられるものではなかったはずだ。
魔法とは果たして、これほどの戦略単位だったのか。
これだけの戦果を挙げられる新術式であれば、
敵地の中央で披露するには勿体無い。
その観点では、下手人は魔法の王国ではないと考えるのが自然だが―――。
盗賊「…お客ですか。今、忙しいのですが」
背後の森に感じる気配。
荒い息と、引きずるような足音。
体温は隠しようもない熱を持っている。
それは、自らと同じように、
修羅の庭から落ち延びたがゆえだろう。
見習「…お前、が、居るから…、か」
盗賊「おや。そのなりは、執行部隊の方ですか」
見習の姿を確認し、盗賊は思わず身構えた。
執行部は単独行動をしない。
行動は常に監視を伴い、自らが死すとも情報を遺し逝く。
つまり作戦行動中の執行部と出くわす事は、
その仲間にも見られている、という事に他ならないからだ。
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