216: ◆DTYk0ojAZ4Op[saga]
2015/09/19(土) 02:24:21.93 ID:HzNUYnay0
盗賊「朝ご連絡差し上げた者です。
医薬品庁の代理でこさせて頂きました」
研究員「…はぁ。
また視察ですか」
盗賊「いえいえ人聞きの悪い。
ただの見学です」
研究員「…上に、話がまだついておりません。
所長室にご案内させて頂きます」
魔研はねずみ色の、漆喰のような石のような、
なめらかな建築材料を用いて建造された星形要塞だ。
中原の王国で少し名の知られ始めた新鋭の建築士をわざわざ招聘したらしい。
星形要塞ってのは、文字通り五芒星の形をしている。
かつて大陸ではこの正気を疑うようなデザインの城塞が主流だったという。
五芒星の突起部は中央を囲む5つの稜堡となる。
これには、面的に攻撃を受けてしまう高い城壁を持つ円形の城塞が、
攻城魔法にあまりに無力な事に対し、
多角的に防衛戦を行えるメリットがあった。
しかし魔法技術の進歩が進み、戦力を分散してしまう星形要塞の独特の形状は、
大規模な魔法行使に対して各個撃破を容易にしてしまう結果となり、
いつしか星形要塞はその即応性と円形城壁の堅牢さを併せ持つ多角形要塞へと進化し、
今では深く掘られた塹壕を主防御に置くようになった。
ちなみに本来の星形要塞は稜堡は先に行くほど下がっていて、
城壁を高くしすぎる事により生まれる足元の死角をカバーしているのだが、
魔研はそもそも張り出し陣がなく、屋根の上を歩けない。
最近はこういったレトロながら近未来的なデザインの建築がにわかに流行っているそうだ。
戦士「この壁、なにでできてるんだ?
漆喰にしては硬すぎる」
盗賊「これはコンクリートですね。
石灰と火山灰から作られる新素材です。
立方メートルあたりで豪邸が建ちます。
強度と靭性、耐久性に優れるのが特徴で、
…贅沢なものですね」
585Res/472.43 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20