魔女「ふふ。妻の鑑だろう?」
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217: ◆DTYk0ojAZ4Op[saga]
2015/09/19(土) 02:25:31.56 ID:HzNUYnay0



変化のない、ねずみ色の通路が続く。
通路には埃ひとつない。
魔女の着ていた長白衣のようだ。
一色に設えられた内装は汚れを目立たせるためなのだろう。


研究員「…こちらです…。
    どうぞ…」


所長室ともなればそうもいかないのか、
少しだけ高級感のある調度品の並ぶ一室に通される。
室内では背の曲がった短身痩躯の男が、
その体格にそぐわない大きな椅子に腰掛けていた。


所長「やぁ、よく来て頂きましたねぇ。
   どちらが盗賊殿ですかねぇ?」

盗賊「私です。
   彼は、護衛の者です」

所長「ほほぉ。
   して、どういったご用件でしょうかねぇ?」

盗賊「かねてより医薬品庁から研究データ開示申請が出されていましたな」

所長「………そうでしたかねぇ」

盗賊「色々と議論が為されたようですが、進捗がありません。
   よって軍部が間に立ち、王国軍中将、勇者の指示のもと、
   納得できる範囲内での研究データの開示請求をする事となりました。
   今回はそのご挨拶です。
   ついでに施設内の見学などを」

所長「…それは、勇者殿が直接来られなければぁ…」

盗賊「いえ、私はただの代理ですので。
   今勇者殿は出払っておられましてな。
   今回はご挨拶だと申した通りです」

所長「…ちっ……………」

盗賊「では、施設内を見学させて頂きましょう。
   見せられる範囲で結構です」

所長「…貴様ぁ………わかっているのかぁ?」

盗賊「なにをです?」

所長「王立の研究機関と内政機関の揉め事の話だろぉ……?
   軍部の介入があるという事はぁ………」

盗賊「なにを仰る。
   中央王国は軍事国家です。
   政府とは軍であり軍は政府です。
   この施設も軍事研究施設では?」

所長「……………ぐぅ………」

盗賊「では、後ほど」






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