20: ◆DTYk0ojAZ4Op[saga]
2015/08/29(土) 20:16:50.63 ID:tNq3pxyB0
魔女「まずいなぁ。
隠れていると言ったが、やはりこんなヤツが居ては、どうしようもない」
物見の水晶は、プロジェクターのように彼女の使い魔のトンボの視界を映し出している。
大門は容易く破られた。
魔物たちがなだれ込み、町は殺戮の限りを尽くされている。
尖兵の魔物より少し遅れて悠然と町への橋を渡る、黒い肌をした人型の魔物。
3メートルほどだろうか。
魔物としてとりたてて大きな部類ではないが、竜のような翼を持ち、人とは質の違う頑健な筋肉が浮かび、
額から大きなヤギのようなねじれた角が生え、虹彩の無い朱いだけの目がその攻撃性を如実に物語る。
何より禍々しい漆黒の鎧と大剣で武装している事が、ただの魔物ではなく、知性を持つ事を悟らせる。
魔女「爆発はこいつの仕業か。
魔界の術式は本当に、礼儀がなっていないね。
威力だけが先走っている」
デーモンを倒すには手だれの前衛に、熟練した魔法使いの助けが必要だ。
…この町に、熟練した魔法使いは一人。
魔女「………私、か」
彼は一人でも戦おうとするだろう。
だがそれでは勝てない。
魔法には魔法の戦い方があるのだ。
…ふと気付いた。
いつの間にかデーモンが、こちらを見ている。
魔女「ふふ、気付かれたか。
少し接近しすぎたな」
途切れる視界。
虎の子のトンボだったが仕方ない。
町に出よう。
彼の武具も届けてやらなければ。
棒きれ1本と鍋の蓋で強敵に挑ませるわけにはいかない。
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