魔女「ふふ。妻の鑑だろう?」
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199: ◆DTYk0ojAZ4Op[saga]
2015/09/19(土) 02:07:21.54 ID:HzNUYnay0



窓を開けて待つ。
少し冷え込む夜風が心地良い。
秋の夜、空気は蒼く澄みわたり、
あらゆる輪郭は月明かりに濡らされて、
鮮やかな夜の景色を映し出す。

夜風にカーテンが踊る。
さざなみのような風に掠められ、
ゆらり、ゆらりと、リズムを取る指のように。
それはじれったくもあり、優しげでもある。
窓枠は額縁のように、夜空から秋の大きな月を掬い上げ、
カーテンは揺れる度に月のその姿を隠す。
気まぐれな夜。
カーテンを束ねようとは思わなかった。
今夜の待ち人には、きっとこんな夜が似合うだろう。

一陣の強い風が吹いた時、
一度だけふわりと大きくカーテンが揺れ、
まるで最初から窓辺に座っていたかのように、
彼女の姿が影絵のごとく月光を遮った。


賢者「待った?来てあげたわよ」

戦士「演出過多じゃないか?」

賢者「私は魔法使いよ。
   演出が効いてなくてどうするの」


長い黒髪は、月明かりに濡れていて、
まるで金色の鱗粉を纏っているかのようだ。
彼女には夜が似合う。
長い黒髪も、色を吸い込むような黒い瞳も、
妖艶な唇も。


戦士「はは、それもそうだ。
   魔女も言っていたよ。
   魔法使いは、演出がうまいって」





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