15: ◆DTYk0ojAZ4Op[saga]
2015/08/29(土) 20:10:59.29 ID:tNq3pxyB0
…なるほど。
彼女は魔法を実践的に捉えすぎたんだ。
魔法とは祭儀的な側面を持つと聞く。
魔力を用い業火を生み出して、それがゴミの焼却のために用いられては、
魔法使いたちも気分が悪いだろう。
だが学院が居を構える魔法の王国の首都は眠らない町で有名だ。
国民のほとんどが多少の魔力を操れるかの王国では、
身体からわずかに漏れ出る魔力に反応し、意のままに照明が点滅するという。
それは初歩的な光魔法がほとんど魔力を消費しないからであり、
魔法使いたちにとっては息をするも同然に行使できる魔法であるから、というが…
つまり「これくらいなら民たちに与えても良い」と判断されたクズみたいな魔法という事か。
魔女「全く、また嫌な話をしてしまった。すまない」
戦士「馴染みのない話は面白いよ」
魔女「…君は優しいな。ふふ」
彼女はよく学院にいた頃の愚痴をこぼした。
学院の体質を聞けば聞くほど、なるほど、引っ越しに魔法を使うような魔法使いの居るところではないような気がする。
愚痴をこぼした夜は必ず、彼女は俺に甘えてきた。
胸に頬をこすりつけ、少し泣いた。
ふた月も経つ頃には、俺もまた彼女を深く愛するようになっていた。
泣いた彼女は一晩で元に戻る。
彼女がこの町を離れていた間、どんな苦労があったのか、俺は知らない。
きっと苦労をしたのだろうが、彼女は今とても溌剌としているので、
俺と暮らす事が彼女の傷を癒している、というのは、夫として気分の悪い話ではなかった。
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