111: ◆DTYk0ojAZ4Op[saga]
2015/09/05(土) 01:25:29.69 ID:X+mP6cx90
数合打ち合い、距離を取る。
間合いは得物が長いだけ、俺に分があるはずだ。
数メートルの距離なら魔法を使わせる前に接近戦に持ち込める。
賢者「これじゃあ風魔法は意味がないわ。
せっかく得意な属性で罠をはったのに」
戦士「逃げてもいいぞ。
追うのも得意なんだ」
賢者「……………うふふ」
賢者が初めて剣を構える。
細身の直剣。
女性的な刀身が、彼女の妖艶さを、より掻き立てている。
戦士「次だ。
魔法に頼るのならそれでもいい」
賢者「あら、採点するのは私よ」
斧槍を構え、身を落とす。
息を吸い、吐き、足の先、指の先から、
体中に力を行き渡らせるような感覚。
動きを止めてはならない。
目の前の敵を倒すまで、
絶対に止まってはいけないと、身体に言い聞かせる。
それが武器を取る者としての矜持。
戦士「いくぞ!!!」
一塊となって駆ける。
足を止めては魔法の餌食。
斧槍の突きを弾き、賢者は思わずたたらを踏んだ。
精霊の加護の疾さで追う。
敵の得物は剣。
間合いを保つには突きがいい。
賢者「――――ッ、く―――」
次々に繰り出す斧槍の突き。
直剣は細身の刀身からは想像できないほどの強度を持つのか、
重量で勝る斧槍を受け続けても、その刀身には少しの歪みもない。
戦士「おおおおお!!!」
部屋を照らす刃先と穂先。
迫るハルバードと、防ぐ直剣。
剣戟は火花を散らし、その度、賢者は後退を余儀なくされる。
更に追う穂先。
それをかわし、受け、さばき、身をよじり、
賢者は更に後退する。
確かに、強い。
得物の間合いの利は、確実にハルバードにある。
それを、音を置き去りにするかのような雨のような突きを、
百にも及び迫る刺突を、彼女は凌ぎ続けている。
585Res/472.43 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20