74: ◆6QfWz14LJM[saga]
2015/08/27(木) 23:19:40.28 ID:CkJ1WGww0
◇
ソーマさんの極東支部での滞在期間は短い。
故に、エリナとの約束の時はすぐにやってきた。
「――前衛は俺と、お前でやる」
「エリナは後方射撃で支援してくれ」
「……はい」
今回、私達に与えられた任務は複数の小型種、中型種の掃討。
ソーマさんには調査に必要な物資の調達として、別の目的があるようだけど、今回はさておく。
彼とは会うのも任務に行くのも初めてだけど、その無愛想な態度からは、不思議と威圧感や圧迫感がない。
むしろ、相手への気遣いがありありと見えるようで、エリナが事前にしていた話に納得する。
ソーマさんの指名の後、エリナがこちらに、不安げな視線を送る。
だけど、それに私が応えて、ソーマさんに訴えかけることはできない――
"ソーマさんとの任務なんだけど、アンタは……あなたは着いて来てくれるだけでいいの"
"まぁ、心細いから着いて来て、ってだけでも相当我儘なんだけどさ……私の気持ちはもう決まってるから"
"それだけでも自分の手でケリつけたいじゃない?……だから、見守っててください"
――それが任務の前に交わした、彼女との約束だからだ。
なので私は、根拠のない笑顔をもって、エリナに返事をしておくことにした。
少しは、彼女の気も紛れたようだ。
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