465: ◆6QfWz14LJM[saga]
2017/02/06(月) 01:18:11.83 ID:bb/eYvHzO
「――まあ、おかげで説明はしやすくなったかな」
「……これを」
「うん?」
「これを、知っているのは……?」
幾分か落ち着いたとはいえ、シエルの顔はまだ青褪めたままだ。
当然と言えば、当然だろう。
私達がフライアから帰ってきてからの時間は、既にそれなりのものになっている。
その間、通常任務をこなしながら、無治療のまま過ごしたともなれば、かかる負担も未知数だ。
「榊博士を通して、もう何人かには伝えてもらってる」
「……安心して、薬もいくつか貰ってあるから」
"黒蛛病"の発見以来、今なお未知のそれに対してフェンリルが進めてきたのは、対症療法としての治療法だった。
だけど、その結実をもってしても、確実と言えるほどの効果はない。
病の進行を遅らせることでさえ困難なのが、この時代の最先端医学の現状だった。
フライアが題目として掲げた根治の意味での"黒蛛病"への対処は、それだけ希望に満ちていて、懐疑的だったのだ。
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