456: ◆6QfWz14LJM[saga]
2017/01/19(木) 22:51:37.01 ID:9gwLykoUo
「……笑わないで、ください」
「くく……いや、悪い悪い」
「……いいんじゃないか、"私は私"で」
「えっ……?」
気づけば彼の声色は穏やかで、毒気もすっかり顔から失せている。
この会話で何度驚かされたか知れない私の様子を察してか、ハルさんが口を開く。
「ごめんな、試すような真似して……当事者としては、そっちの本音も知りたくてさ」
「いえ、私の方こそ、自分勝手な事を……」
「でも、それが事実だ」
「似てると同じはイコールじゃない。どこまで行ってもケイトはケイトで、お前はお前のままなんだよ」
「……俺もそう割り切れているつもりだったんだが、本人から突っ込まれちゃあ、仕方ないよな」
自嘲気味な微笑みを向けた直後の彼は、今度こそ澱みのない瞳で、私の方を見据える。
「てなわけで、さっきの質問の答えとしては……まあ、お前自身を気に入ってる、ってことだ」
それじゃあな、と背を向けるハルさんの様子は、彼にしては珍しく、少し気恥ずかしげだった。
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