446: ◆6QfWz14LJM[saga]
2016/12/31(土) 22:48:27.27 ID:ocVP7Ngho
あくまで持論だけどな、と付け加えると、ハルさんはこちらの返答を待つ事もなく、話に戻った。
「そりゃあ、誰にも負担をかけさせないって姿勢は立派だぜ」
「……だが、それも見方を変えれば、自分の事だけ考えてりゃいい状況を作っているとも言える」
「そうなると、自然と視野も狭くなる……そんな経験、お前にもあるんじゃないか?」
今度は、自分を抑える必要もなかった。
確かに心当たりはあったし、否定する気にもなれなかったからだ。
「……今も、そうだと?」
問いで返した私に、ハルさんは首を横に振る。
「迷っている内はまだ、かな。厄介なのは、それすらも捨てて、何も見えなくなった後だ」
「なまじ気兼ねをしなくていいもんだから……壊れるまで歯止めが効かなくなっちまう」
単なる気まぐれか、彼の言う"覚え"への追想なのか。
心なしか、ハルさんの声の調子が落ちたように感じた。
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