355: ◆6QfWz14LJM[saga]
2016/03/30(水) 00:43:42.64 ID:1CHoKoAWo
「……あの、ジュリウス」
その核心を、シエルが突く。
「やはり私達では、力になれませんか……?」
以前の私と、同じ問い。
その想いを抱くのは、彼女だけには限らないだろうけど。
「シエル」
切り出したシエルの肩に手を置き、振り向く彼女の瞳を見据えた私は、頭を振った。
今の"ブラッド"の中で、配属以前からジュリウスと面識があったのはシエルだけだ。
実際の親交はどうあれ、こうして彼が離れてしまえば、特別気持ちも強くなるだろう。
けれど、ジュリウスは既に決断している。
何を斃すだとか、助けに行くだとか、そんな明確な問題でもなくて。
私達が動けるとしたら、それは彼が道を踏み外してしまった時だけだ。
――"……俺だって、帰れるのなら、お前達の元に帰りたい"
"だが、不甲斐なくロミオを失い、ブラッドを裏切った俺に、そんな資格は……!"――
ジュリウスを蝕む病、吐き出された彼の本心。
そこまで知ったからこそ、尚更同じ道に引き戻したくはない。
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