289: ◆6QfWz14LJM[saga]
2016/02/26(金) 14:18:29.18 ID:+LYcw3sno
新たな才能の発掘に燃えるリッカさんと、それに満更でもなさそうなギル。
また蚊帳の外になった私は、あえて口を挟まず、彼らの様子を見る。
会話が進み、専門用語がある程度増えてきた頃には、入り込む余地もなくなった。
お似合い、だと思う。
リッカさんなら、のめり込める事柄を見出したギルを、十全にサポートできる。
彼女自身もギルに興味を示しているし、面倒見のいい性格だから、彼の好奇心にも長く付き合えることだろう。
私より、ずっと彼にふさわしい。
――掠めた何かは、痛みだった。
けして大きくはない、けれど、胸の内でじわじわと蝕んでくるような、嫌な感覚。
……あれ。
何故、私は自分を引き合いに出したんだろう。
今までも、そしてこれからも、ギルは大切な仲間だ。
それ以上の関係だなんて、少し意識してしまうことはあっても、想像できない。
そもそも、こんな下世話な考え自体が、彼に失礼なんじゃないだろうか。
そうやって思考を渦巻かせているところで、リッカさんと目が合った。
彼女は一瞬目を見開いた後、すぐさま得意げな笑顔を返してくる。
嫌な予感がした。
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