280: ◆6QfWz14LJM[saga]
2016/02/22(月) 02:01:34.65 ID:E9X6QFqSo
「――本当に、いいの?」
「……はい、これも、私の憧れでしたから……!」
「いや、友達の髪触るだけなんだから、そんな緊張しなくても……」
握られたヘアブラシが、両サイドのリボンを解いた、シエルの頭髪に迫る。
彼女の頼みとは、自分の髪型を私にアレンジしてもらうことだった。
"ブラッドバレット"を研究する際、肩を並べて勉強する事が憧れだったとシエルは語ってくれたけど、
こうしたスキンシップに関しても、それは同様だったらしい。
「小さい頃、鍛錬の合間にふと、施設の女の子たちがそんな交流をしているのを見て、羨ましかったんです」
「だから、友達が出来て、もっと仲良くなれたら、やってもらいたいな、と……」
カウンター席に座り、赤裸々に語る彼女の背後で、私は長髪を梳いていく。
両手を覆っているインナーは手首辺りから分割できるので、もう片方の素手は、柔らかな髪質と直に接触していた。
そういった経験は私もないけど、シエルからそれほどの関係だと思われているのは、正直嬉しい。
「……よし、出来た」
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