261: ◆6QfWz14LJM[saga]
2016/02/19(金) 02:43:39.51 ID:FLcWsv7Mo
◇
ナナが私の手を放したのは、アラガミの視界からある程度離れて、すぐの事だった。
彼女は立ち止まると、私にアンプルを差し出す。
「これ、返すね」
手渡されたのは出撃前に奪い取られた、私のフェロモン剤だった。
受け取りはしたものの、釈然としない。
「……どうして、これを?」
「えへへ……シエルちゃんとギル見てたら、なんか恥ずかしくなっちゃって」
「それをどう使うのかは……私が決める事じゃないんだよね」
対するナナは、頬を掻きながら、ばつの悪そうな笑顔を浮かべる。
「……よーし!私も仕事しなきゃ!……隊長は、どうするの?」
「……私、は」
奮起した彼女は既に、自分が何をするべきか決めていた。
その上で、私の決断を求めている。
ナナだけでなく、今戦っている、あの2人も。
言葉と行動に示すだけの、自己がある。
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